マイナンバーは天保の改革だ!
これが北見昌朗のオピニオンです。
マイナンバーが平成28年1月からスタートする。このマイナンバーの問題を、マスコミが一切報道しないのは何故だろうか? 情報管制かと思うほど、何も報道しない。
多くの方は「自分は脱税していないので大丈夫。そんなの関係ネー」と思っているかもしれないが、そうでもないのである。日本社会を変えるほど大きなインパクトを与えるからだ。このマイナンバーのおかげで大不況がやってくるかもしれないからだ。ここに大きな問題点を列挙しよう。
その① 夜のネオン街から女の子が消えてしまう
「昼はOL、夜は風俗」という女性は少なくない。名古屋の繁華街・錦3丁目で働く女の子は、たぶん、大半がアルバイト、つまり本業を他に持っているので、副業だと思われる。その女性たちは、マイナンバーが導入されると姿を消してしまうかもしれない。
その理由は、確定申告により、会社にアルバイトがバレてしまうからだ。もちろん会社は兼業禁止ということで副業を禁じており、違反すればクビもありえる。だからアルバイトどころでなくなってしまう。
マイナンバーに記録が残ることも嫌だろう。例えば「○○観光(株)」勤務といった記録が、自分のマイナンバーに永久に残るのである。
江戸時代の天保の改革にそっくり!
天保の改革で失敗した水野忠邦
江戸時代の後期である天保12年(1841)に、天保の改革が行われた。推進者は水野忠邦である。
水野は綱紀粛正と奢侈禁止を命じた。改革は江戸市中にも布告され、華美な祭礼や贅沢・奢侈はことごとく禁止された。
風俗の取締りを行い、芝居小屋の江戸郊外(浅草)への移転、寄席の閉鎖など、庶民の娯楽に制限を加えた。歌舞伎役者の7代目市川團十郎に対し、江戸追放といった苛烈な弾圧が加えられた。遊郭も禁止した。そのおかげで、夜の街は真っ暗になってしまった。
その② 民間から過酷な税の取り立てを行う
マイナンバーの導入によって、政府は民間から税・保険料の不正・滞納を容易に摘発出来るようになった。特に大きなものは、こんなところだろう。
- 社会保険料の取り立て(年金に本来なら入る義務があるのに入っていない会社から保険料を取り立てたら数兆円の規模になる)
- 生活保護の縮小(生活保護を不正に受給してる人を摘発したら数千億円以上の歳出カットができる)
- 奨学金の取り立て(学校を卒業した後に奨学金を返さずに逃げた人がいるが、マイナンバーで所在を突き止めることができる)
このように列挙すると、数兆円単位の歳入増加は、ごく容易だ。だが、その結果、民間は大不況に陥る。オカネが回らなくなるからである。
マイナンバーは、筋としては正しいのだが、結果として弱者イジメになりかねない。
江戸時代の天保の改革にそっくり!
水野は天保の改革で、年貢の徴収を強めた。幕府への収入の基本は農村からの年貢であったが、当時は貨幣経済の発達により、農村から都市部へ人口が移動し、年貢が減少していた。そのため、江戸に滞在していた農村出身者を強制的に帰郷させた。そして、年貢を強制的に取り立てた。
その③貨幣の改悪でインフレを招く
日銀の黒田総裁は、2013年、緩和策を総動員した「異次元の政策」を開始した。
日銀は、2年間で前年比2%の物価上昇率を目指す「量的・質的金融緩和」の導入を決めた。政策目標を金利からマネーの量に切り替え、市場に供給するお金の量を示すマネタリーベースを2年間で倍増させた。黒田東彦総裁は同日の記者会見で「これまでと次元の異なる金融緩和だ」と強調した。
江戸時代の天保の改革にそっくり!
天保の改革において、水野は貨幣発行益を得るために貨幣の改鋳を行った。貨幣発行益を目的とする改鋳は江戸時代の多くの時期で行われ、それによってマイルドなインフレが発生して景気も良好となっていたが、天保の改革においては以前とは異なり猛烈な勢いで改鋳を行ったため高インフレを招いた。これで困ったのは庶民であった。