マイナンバーショック 風俗編その①
これは北見昌朗の空想に基づく記事です。マイナンバーの導入を控えて、問題提議するために執筆しました。何ら具体的な根拠はありませんので、悪しからず。2015年4月。
「昼はOL、夜は風俗」を続けるのは無理なの???
写真はイメージです
2016年11月、名古屋の女性・花子さんは、迷っていた。というよりも困っていた。悩みというのは夜の仕事(風俗)を続けるか否かだった。
「夜の仕事をしていることがバレちゃうと困る。会社にバレたら就業規則違反でクビになっちゃうかも…。それから家族にバレるのは絶対いや。でもお昼の仕事だけでは、とても暮らしていけないし…。もう、どうしよう???」
花子さんが、そこまで考え込んでしまっている理由は、マイナンバーだった。マイナンバーのおかげで、副業をしていることがバレるのではないかと心配しているのだ。
花子さんは、大学生の頃にキャバクラに体験入店をした。ほんの臨時のつもりだったが、給料が高いのが魅力で、卒業するまで続けた。
大学を卒業して、運良く地元の金融機関に入社することができた。他人からみれば、良い就職先だとみられるかもしれないが、アパートで一人暮らしをしてみると、案外余裕がなかった。だから、再び夜の世界に飛び込んだ。
会社にマイナンバーを届け出てください
勤務先は、中区の錦3丁目にあるクラブ。源氏名は「錦水子(にしきみずこ)」だった。時給3500円で、週に3日ほど出勤した。
ところが困ったことに、クラブを経営している会社が、マイナンバーの提出を求めてきた。
「勤務される方は、会社に必ずマイナンバーを届け出てください」
花子さんはこれまで、お店に自分の本名を言ったことがない。お昼の勤務先も秘密だった。お店では源氏名の「錦水子」で通してきた。自分だけでなく、他の女の子も皆そうだ。給与は日払い制だったから、銀行口座を教える必要もなかった。
夜の仕事は大学生時代からだから、何年もやってきた。だが、税金なんて納めたことがなかった。本来なら確定申告をして税金を納める義務があることぐらいはわかっていたが、店の他の女の子に聞いても誰も納税していなかった。
クラブを経営している会社にしても、これまで納税をきちんと行ってきた様子はなかった。
ところが2016年になって、急にオーナーがマイナンバー、マイナンバーと言い出したのだ。マイナンバーのおかげで所得がバレて、税務署にやられるのが怖いらしい。
花子さんは、マイナンバーの提出を遅らしてきたが、それも限界らしい。オーナーは「いつまでに出してくれるのか?」と詰問してくるようになった。
花子さんは税金の詳しい知識なんて持ち合わせていなかったので、ネットで調べてみた。すると出るは、出るは…。
特にヤフーの知恵袋はギッシリと同じような質問があふれていた。ちょっと紹介してみると、こんな感じだ。
ネットで検索しても答えが見つからない
「現在無職という設定で親の扶養に入っていて、誰にも秘密で風俗のバイトをしています。確定申告などもしていないのですが、来年からマイナンバー制度というものが始まると最近知りました。扶養に入れなくなったりする過程で家族バレなどは絶対に避けたいので、その制度が始まったら風俗を辞めるしかないと思っているのですが、辞めるまでの今年中に稼いだ分も後々調べられてバレることもあるのでしょうか? また今まで稼いだ給料のうち約100万円程銀行に預けているのですが、そちらもタンス預金にしたほうがよいでしょうか? 風俗で働いていることや、これまでの脱税は悪いこととわかっていますが、ここでの批判はご遠慮ください。店は女の子個人の売り上げは申告していません。私も確定申告していません。風俗嬢の方、これから私はどーするのよーみたいな感じでアドバイスお願いします」
質問する方は、結構真剣なのだが、欲しい回答がなかなか見つからない。
「欲しい回答」というのは、もちろん「納税せずに会社にも親にもバレずに従来通り風俗を続ける方法」なのだが、それが載っていなかった。
「もう、本当にどうしよう???」と思い悩む日々が続いた。
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