【マイ・オピニオン】 マイナンバー収集保管システムをどうする?
業務システムの改修が必要になる
2016年1月から運用開始されるマイナンバー制度。この制度は、今までのシステムに管理項目がひとつ加わるだけでは終わらない。
マイナンバーの記載が必要になるのは支払調書など各種法定調書。そこで人事・給与システムや情報システムの改修があわせて必要になってくる。人事・給与システムのパッケージソフトを使っている場合は、ソフト会社のほうでバージョンアップなどで対応するだろう。もし、一部でもマイナンバーを使用するソフトを自社開発している場合は、システムの変更を伴うような対応も必要になってくる。情報漏えいを絶対にさせないために、システム対応は欠かせないだろう。
関連書類を作成・提出するまでに収集・取得すればよい
10月からマイナンバーの通知カードが配達されているが、企業のシステムは、どのタイミングでマイナンバー対応を完成させておくべきか。
マイナンバーの収集は、通知カードが従業員に届きしだい、すぐに行うことができる。ただしマイナンバーを取得した時点で、すぐに管理する責任が生じるため、それまでに安全管理措置も講じられていなければならない。
企業がマイナンバーを取り扱うのは、あくまでも税金や社会保障関連の事務についてのみである。したがって、関連書類を作成・提出するまでに取得しておけばよい。2016年1月から制度は運用されるが、必ずしも制度開始までに収集する必要はないということだ。
マイナンバーの収集・保管はクラウドで、と対策を考えている中小企業は多い。ただ、システムの構築がそれまでに間に合わないのであれば、当初は紙ベースで管理して金庫に入れておく、という方法でも問題はない。
運用開始までカウントダウンが始まったのは間違いない。すぐにも収集・保管をどうするか、管理システムの準備を始めなければならない。
取得から廃棄まで外部委託することもできる
従業員の貴重な個人情報を取り扱うにあたり、システム面やセキュリティ面に自信が持てない企業も多いだろう。
自社でマイナンバーの管理が難しいと判断した場合は、個人情報関連の業務を外部に委託することも認められている。従業員数が多い、拠点が多岐にわたるといった理由で、収集・保管業務を外部委託する大手企業もある。マイナンバーをデータで保管するだけでなく、収集・取得・保管・廃棄まで対応したソリューションを提供する企業も多数存在する。
外部委託の主たる方法は、クラウド型のシステムによるサービスがほとんどである。この場合、サービス事業者に対し個人番号関係事務の委託にあたるかどうか、確認することが重要となる。外部委託に該当しない場合は、保管されているマイナンバーの安全管理措置は、利用企業の責任で講じる必要があるからだ。
外部委託に該当する場合、サービス事業者が安全対策を講じる必要があり、利用する企業は、安全管理の実施状況について監督する立場になる。社会保険労務士に委託する場合は、前者の外部委託に該当する。
北見事務所の“人間クラウド”
社会保険労務士法人北見事務所(名古屋)の保管方法はクラウド型のシステムではなく、“人間クラウド方式”をとっている。そのためにドデカイ金庫を導入した。金庫でガッチリとマイナンバーを保管していく。
従業員の方がマイナンバーを会社に提出してくる。会社としては本人確認義務があるので、そこまでは会社側が行う。つまり“収集”は会社が行う。保管から管理・廃棄までは北見事務所が行い、さまざまな保険関連の手続きに使用していくというのが、北見事務所が考えた方式である。