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「マイナンバー」で日本は大不況になる

文藝春秋2015年6月号に北見昌朗の記事が掲載

月刊『文藝春秋』平成27年6月号掲載

「マイナンバー」で
日本は大不況になる

マイナンバー(社会保障・税番号制度)は、日本国内に住民票を置く人すべてに割り振られる、12ケタの番号です。今年の10月5日から番号の通知が始まり、来年1月から使われることが決まっています。

ところが、内閣府が今年1月に行なった世論調査によると、「内容を知っている」と答えた人は28.3%にすぎません。7割以上の人が正確な内容を理解していないまま、半年後にはスタートするのです。

現在、地方自治体や民間企業の担当者を対象としたマイナンバー問題のセミナーがひんぱんに開催されていて、どこも満員御礼です。こうしたセミナーの参加者ですら、厳密な個人情報管理のために求められる義務や手間を初めて知って、愕然とする人が多い。「大変な負担だ。こんなこと、いつ決まったの?」というのが、素朴な受け止め方です。

内閣官房のホームページは、制度の目的をこう説明しています。

〈マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです〉

その上で、三つの効果が期待されると謳います。

〈1つめは、所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている方にきめ細かな支援を行えるようになります。(公平・公正な社会の実現)
2つめは、添付書類の削減など、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。また、行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできるようになります。(国民の利便性の向上)
3つめは、行政機関や地方公共団体などで、様々な情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が大幅に削減されます。複数の業務の間での連携が進み、作業の重複などの無駄が削減されるようになります。(行政の効率化)〉(傍線筆者)

つまり、いまは市町村役場や税務署、年金事務所、健康保険組合、ハローワークなどがバラバラにもっている国民の情報をひとつの番号で繋げることで、簡単に照合できるようにする。それによって、脱税や社会保険料の不払い、年金の不正受給などを防ぐことができ、行政手続きも効率化できるというのです。

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